ブータンの刺繍
ブータンはヒマラヤ山脈の東南部にあり、中国(チベット地域)とインドにはさまれている山国です。
ヒンドゥ教徒もいますが、仏教を信仰している人たちが多くいます。ブータンでは、仏教は生活のすみずみに生きています。
お寺だけではなく、仏教徒の一般家庭の仏間にも、必ずタンカ(仏画)があります。一般的な仏画は絵の具で描かれたものですが、印刷、版画、刺繍、などの種類があります。この刺繍の仏画(繍仏)は、とても高価です。画家よりも刺繍職人が圧倒的に少ない上に制作時間も長いためです。でも、ひと針ずつ刺す制作中の一瞬一瞬にこめられた祈りは深いと信じられ、尊ばれています。
ブータンの刺繍は趣味で刺されているものではなく、本来、僧侶や職人が刺すものです。そのため、ブータンでは刺繍をしているのは男性ばかりでしたが、現在は女性の刺繍職人が増えています。
祈りの形として発展してきたブータン刺繍ですが、仏画以外にも様々な装飾として好まれています。
一般的に身に着けるものに刺繍されることは多くありませんが、2011年の国王陛下・妃殿下のご婚礼の際には、国王陛下のブーツや、妃殿下のパンプスやラチュ(肩にかける帯)の刺繍の美しさが話題になりました。
絹糸で刺されているため発色がよく、光沢があり、ミシン刺繍にはないやわらかさがあり、それはそれは美しいものです。
刺繍は手軽に始められます
ブータンの刺繍に必要なものは、とてもシンプルです。
・針
・糸
・布
・指ぬき
(利き手の人差し指にかぶせます)
・はさみ
たったこれだけです。枠も使いません。
道具が少ないので、お教室にいらっしゃるときの持ち物が負担になりません。音が出ず、場所もとらず、好きな時に好きな場所で刺繍することができます。
当教室は講義形式ではなく、各自が教室でそれぞれの作品を刺していく、実技形式のレッスンです。進むペースは、ひとりひとり違います。おうちでたくさん刺してくる方はどんどん進みますし、教室でだけ刺せばのんびり進みます。進むペースはまちまちです。他の方と比べるのではなく、ご自分が楽しく続けられるペースで進めてください。
ブータン刺繍は針や布の持ち方に特徴があるので、最初は難しく感じるかもしれません。でも、すこしコツをつかめば、どなたにも楽しんでいただけます。
ブータン刺繍の魅力を、ぜひ味わってみてください。